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蔵元を訪ねる、蔵元探訪第1回目は、長年伏見で地酒を造る蔵元を訪問。北川本家の酒造りの中心を担うお一人、田島善史さんが工場の案内と、酒造りについてお話をしてくださいました。
伏見は、灘と並ぶ酒処として古くから人々に愛飲されてきた天下の酒処。「伏水」(ふしみ)といわれる良質の地下水に恵まれ、ミネラル分を適度に含んだきめ細かな銘水が、灘の「男酒」に対して、しっとりとしたまろやかな口当たりから「女酒」といわれていました。
酒株制度が設けられた明暦3年(1657年)、伏見には83軒の造り酒屋があったが、現在まで酒造業を続けているのは、この北川本家と月桂冠の2軒だけとなっています。
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北川本家の直販ショップ
蔵元のすぐ横にありました。 |
北川本家は、江戸時代初期、宇治川沿い豊後橋(観月橋)の近くで「鮒屋(ふなや)」という船宿を営んでいた初代四郎兵衛さんがお客様に出すための酒を造り始めたのが酒造りの第一歩とされ、酒造り一筋340年余の歴史があるという。
北川本家を代表する銘柄の「富翁」は、明治43年、10代目北川三右衛門さんが中国の四書五経の文献より「富比翁」の表現を見つけ、酒銘を「富翁」と名付けられました。「富比翁」の富は貧富を表すのではなく、精神的な豊かさをいい「心の豊かな人は晩年になって幸せになる」という意味ということでした。
酒造りは杜氏によってそれぞれ個性的な酒造りを行ってきましたが、北川本家では現在、最新のメカトロニクスによる醸造システムを導入して名酒造りに取り組んでいます。
工場に足を踏み入れると、甘い香りが漂っていました。
酒造りは、山田錦・五百万石・八反錦・高嶺錦・アケボノなどの酒造好適米といわれる米を使用します。

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通常私たちが食する米と違って、これらの酒造好適米は米粒の中心が白くなっています。これは中が空洞になっているために白く見えるのだということでした。そしてこの空洞が酒造りに欠かせないということです。
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白米
原米の表層部にある脂肪分、タンパク質などを精米機で25%以上精米します。上級酒になるほど精米して玄米の半分以下の大きさにまでするそうです。削れば削るほど雑味がとれてより高品質のお酒ができます。中でも山田錦は空洞の大きさが小さく40%の大きさまで削ることができ最高の酒造りができるそうです。米粒が小さくなるほど高度な作業が要求されます。 |
うまい酒造りは、なんといっても蒸米が原点。原料米は品種の違いや、その年によっても違うため、浸漬の作業は特に神経を使うという。米によって水を吸収するスピードが違うため、米の表層の微妙な変化を見極めて水に浸す時間を判断しなければならず、早いものでは数秒で適度な状態になるらしい。一瞬たりとも気が抜けず、最新の機械化がされたといえ、酒造りを左右する最重要行程に優れた酒造りの匠の技が求められる瞬間である。
また麹づくりでも、麹菌を散布する量加減、そして酒母づくりや仕込みでの微妙な温度調節に、酒造りにたずさわる人の力が必要とされています。伝統の技と最新の技術が融合して名酒が生み出されています。
酒造りの中で最も重要な製麹には、永年の経験と高い技術が要求されるそうです。北川本家ではKOS式全自動製麹装置を導入して、コンピュータ制御により、いつでも仕込みに最も適した麹をつくり出せる最新設備で行っています。
最後に仕込みタンクを見せていただきました。広い室内にはいると、床に等間隔にタンクの口が並んでいました。この床下がすべてタンクになっているという。ぶつぶつと泡立っているのが見え、顔を近づけると発酵しているいい香りがしました。

工場見学のあと、平成16年5月(平成15酒造年度)の全国新酒鑑評会で9回目の「金賞」を受賞された「大吟醸山田錦金賞酒」を飲ませていただいた。全く同じつくり方で、最後のしぼり行程だけが違うという2種のお酒を飲ませていただいたが、香り味ともに全く違うものでした。単にしぼり方だけでこれほど味に差が出るのかと、日本酒づくりの奥深さを実感しました。
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